趣味の統計

心理統計のはなし(偏差への偏愛ともいう)。Web上に散らばっている「アンケート」へのつっこみ。その他。

シグマくんのはなし #26

たてよこシグマくんを分解しよう

前回の最初に呈示した式を再掲しましょう。
 \displaystyle x_{..} = \sum_{j=1}^m \sum_{i=1}^n x_{ij}
表の中に入っている数たちの総合計を求める式だったので、左辺もその記号(x_{..})にしてあります。添え字が2つついているのは、一方が「何列目の数たちの仲間か」を示していて、もう一方が「何行目の数たちの仲間か」を示していました。何度も繰り返し読んだりしていると、だんだん行と列がごっちゃになってくるかもしれませんね。でも、表自体は、横向きに倒しても(つまり行と列を入れ替えても)意味は変わらないので、深く考えすぎないようにしましょう。
では、たてよこシグマくんを、分解していきます。

第一段階:1行目の合計を計算

まず、上に乗っかっている、横向きのシグマくんに活躍してもらいます。一番上の行だけを、ぱくっと口の中に入れてもらって、合計を出してもらいましょう。「1行目」の「合計」なので、計算結果は  x_{1.} としておきます。これを、左に立っているもう一つのシグマくんのお口に入れます。

第二段階:2行目以降も同じように

そうしたら、2行目以降も同じようにしていきます。1行目はもう計算し終わったのでよけておいて、2行目をぱくっと合計し、左のシグマくんのお口に入れます。「2行目」の「合計」なので、こんどは x_{2.} ですね。
3行目、4行目も同じようにします。

第三段階:行合計を合計する

ぜんぶの行を計算し終わると、横向きのシグマくんの仕事は終わりです(わかりやすく、下の図では消えてもらっています)。縦向きのシグマくんの口の中には、行合計が集まっていますから、これを全部足し算すると、総合計がわかりますね。

終わった!

ということで計算が終わりです。2つのシグマくんが力を合わせて、すべてのセルの数を合計している様子がわかっていただけたでしょうか。

なお、ここに示したのは、総和記号が2つ並んでいるときの考え方の一例であって、必ずこの手順で計算しているという意味ではありません。要は、

  1. まず行ごと(または列ごと)に合計し、
  2. 次にそれらを合計する

という手順を踏むことで、すべてのセルの値をもれなく合計しているのだ、ということが理解できればOKです。
繰り返しになりますが、行と列とを入れ替えても、結果は同じです。表の意味も変わりません。ただし、相対度数を計算するときは、行と列とでその意味が変わってくるので、そこだけは注意が必要です。

次回からは、たてよこシグマくんが登場する、カイ二乗検定について話していきます。ふたたび、自由度、偏差、偏差二乗が登場します。