分散公式を導く:つづきのつづき
前回までで、分散公式を展開し、3つのシグマくんに分身させ、さらに、3つ目のシグマくんを、エヌがくれの術で簡単にしました。今回は、残った2つ目のシグマくんを、簡単な形に変形していきます。2つめのシグマくんはこんなでした。
式の変形を進める前に、いったん復習タイムです。
式変形(分配法則)
分配法則(たぶん)という名前で式の変形を習ったことを覚えているでしょうか。こんなやつです。
反対方向に変形するやつもありましたね。こんなやつ。
今回使うのはこっちです。にもにもにも、という同じ数を掛けているときには、その数でくくって、カッコの外に出すことができますよ、ということでした。そうです、「まとめ掛けの術」で使ったやつです。
2つ目のシグマくんにはこの術が使えます。式がちょっと入り組んでいるので、順序を入れ替えて、見やすくしていきましょう。
左がもともとの式です。見ると、「-2」と「6」がどの式にもあります。この2つが、上の式変形復習でのやにあたる数で、カッコの外に出せる数です。見やすくするために、順序を入れ替えたのが右です。
2つめのシグマくんがやろうとしていることは、この5つの(n個の)式を合計することです。でも、赤と青で示した「」は、全部同じなので、合計してから1回掛け算すればいいよね、というのが「まとめ掛けの術」でした。ということで、(b)はさらに次の(c)に変形できます。
数式だとこんな感じになっていますよ。(上の図ではを省略していますのでご注意を!)
なんだ、結局シグマくん残っているんじゃないか・・・
と、思うのですが、あきらめるのはまだ早いのです。
式変形(平均ってなんだっけ)
またまた復習タイムです。平均ってなんでしたっけ?
いまさら何を? という感じなんですが、思い出してください。こういう式で求めるのでした。
一般的な数式で書くと、こうでした。
この式の、両辺に(つまり、=の左側にも右側にも)を掛けたら、こうなります。
これは、平均値を倍したものと、データの合計が等しい、という意味ですね。ということは、
は、と書き換えて良い
ということです。では、これを2つ目のシグマくん(c)に適用しましょう。
ついに変形が完成
「平均値を倍したものとデータの合計は等しい」という書き換えワザを用いると、2つ目のシグマくんは、図の一番右のようになります。(注:数値の表では、で割るという計算を書いていません。)
ほら、ずいぶん簡単になったでしょう。ここまでくれば、あとは簡単。を約分しましょう。が2つ掛け算してあるので、に書き換えましょう。数式でまとめると、
となりました。
いよいよ
長くなったので、最後のまとめは次回に回します。いよいよ、分散公式が完成します。