趣味の統計

心理統計のはなし(偏差への偏愛ともいう)。Web上に散らばっている「アンケート」へのつっこみ。その他。

食生活において健康を意識しているらしい(あえて主語抜き)

今回のネタはこちら。

prtimes.jp

調査方法についての記述

調査方法について、「東洋経済会員に向けて、アンケート調査についてのメールマガジンを送付、Webフォームより回答」のように記述があります。よくある「インターネットアンケート」などと比べると、調査がどのように行われたがよくわかって、良いと思います。一方で、回答者の性別や年齢層、職業などの属性別集計はまったく報告されておらず、残念です。

東洋経済会員」が、日本人全体からみてどのような特徴をもった集団なのかわかりませんから(少なくともこの記事からはわかりませんから)、この結果を、広く日本人の傾向として、一般化することは控えたいと思います。

特に珍しい結果ではない

調査結果のまとめとしては、冒頭の要約にもあるように、多くの人が健康を意識していて、健康に良いものを食べてもらいたいと思っているが、料理のレパートリーが少ないことや、手間暇がかかることが悩みである、食費がかさむ、ということでした。

この結果は、「調査したからこそわかること」なのかといえば、そうではないでしょう。わりと当たり前なことが、調査からも再確認された、ということでしょう。

だったら、なんでこの調査したの? と質問したくなります。

答えは後半にあって、新しく出版された本を宣伝したいから、だと思われます。この本を読めば、時間がかからず、簡単に、おいしい和食ができますよ、ということをアピールしたいがための調査なのでしょう。

それにしてもうまい具合に、「家族に食べさせたい食事は和食」という回答が85%を超えています。だからこそ、調査対象の属性をちゃんと示してほしいなあと、思ったりするのです。

図が見にくい

最後に付け加えておくと、図が見にくいです。

円グラフで、さまざまな色を使って表現するよりも、色調を統一して濃淡をつける方法は、色覚多様性への配慮のひとつだと思うのですが、凡例の文字までそれをする必要があるのでしょうか。凡例の「まったく意識していない」などは普通に読みにくいし、そもそも文字が小さすぎます。

棒グラフも、項目名はほぼ読めません(とくに棒グラフの2つ目がひどい)。グラフを横向きにすればもう少し読みやすくできたと思うのですが。