趣味の統計

心理統計のはなし(偏差への偏愛ともいう)。Web上に散らばっている「アンケート」へのつっこみ。その他。

シグマくんのはなし #01

総和記号のシグマくん

総和記号という記号をご存知でしょうか。
一般に数学の教科書ではシグマという文字で表されています。シグマというギリシャ文字をご存知でしょうか。ローマ字のMという字を左側にコテンと倒したような形をしています。ギザギザとした結構いかつい記号ですね。こんな形をしています。
 \displaystyle \sum
これは何を意味するかというと、総和記号という名前の通り、全部足してくださいという意味の記号です。ただし、総和記号の横や前や後ろにくっついているものがこれまた結構いかつい形をしていることが多いので、それもあって、結構忌み嫌われている、よくわからない記号の一つであったりします。

で、少しでもこの記号を身近に感じていただきたいので、これからはこの記号のことを、「シグマくん」と呼んでいこうと思います。
さてこの総和記号「シグマくん」の意味についてこれから解説をしていきたいと思うんですが、まず「シグマくん」のことは一旦忘れて、足し算を我々がどんな風にしているかを思い出してみてください。

小学校の足し算

小学校の頃に足し算を習ったと思います。
  3+5=8
のように、ノートに1行に横向きに書く書き方がありますね。「3」「+」「5」「=」「8」と順に横に並べて1行で書く書き方です。この例では1桁の数ですから、計算で困る方はほとんどおられないと思いますが、もっと桁数が増えてくると、例えば
 123+234
のように桁数が増えてくると、横に並べて書いてはやりにくい感じがするかもしれません。
そういう時に、これを縦に並べて書いたことがなかったでしょうか。いわゆる筆算という形です。まず123を書きます、そしてその下の行に、桁を揃えて234を書きます。桁を揃えてというのは、お互いの「一の位」どうし、「十の位」どうしを上下にぴったり揃えて書くわけですね。そうしないとそれぞれの位どうしを足す、という、筆算の仕組みがうまく利用できませんね。そして、左端に+という記号を書いて、横線を引っ張って、一の位から順番に足し算をしていきます。これが筆算というやり方だったと思います。

いまの例では足す数は2つでしたが、これがもっと増えてくる場合があります。小学校ではそんなに3つも4つも重ねて計算をすることはなかったと思いますけども、例えば珠算(そろばん)を習った方は、もっとたくさん数字が積まれたものを、そろばんで足し算する、あるいは途中でこの数だけは引き算する、というような練習をされた経験があるかと思います。こういう筆算の形を思い浮かべていただくと、総和記号というものが少し身近になるんじゃないかと思います。

「シグマくん」は足し算の筆算

実は総和記号「シグマくん」というのは、この筆算のように、「縦に積まれた数の上と下をガチャンと挟んで、足し算をする記号」という形で理解すると考えやすいのではないかと思います。間に挟んである数を全て足してください、途中引き算が混じっているのは、負の数を足すと考えてください。そうすると、足すのか引くのかということは考える必要はなく、全てを足すという風に理解できると思います。さきほどの筆算を書き直すとこんなふうになります。

注:実際には、このように総和記号を書くことはありません。この画像は、総和記号がどのような役割をしているのかをイメージしたものです。くれぐれも、この形のまま数式をお書きになりませんよう。
もちろん実際の計算をするのは計算機だったりエクセルの関数だったりする必要があるんですが、総和記号で求めているのは、そこに並んでいる数の合計ですね。総和記号というのは、要するに足し算の記号の特殊なやつです。足し算した合計の数、という、一つの数を求める計算であるということです。